デキャンタ・エアレーターの選び方|効果と使うタイミング

ワインを開けたときに「香りが閉じている」「味が硬い」と感じた経験はないでしょうか。そんなときに使われる道具が、デキャンタとエアレーターです。この記事では、グラスメーカー・リーデル公式ブログのコラムと、ワインショップソムリエ公式サイトの解説をもとに、それぞれの仕組みと使うタイミングの違いを整理します。試飲・実飲による味の評価は行わず、公式情報で説明されている仕組みの紹介にとどめます。
デキャンタとは何をする道具か
デキャンタは、ワインを別の容器に移し替える「デカンタージュ」に使うガラス容器です。リーデル公式ブログによると、デカンタージュには大きく2つの目的があります。1つは、ボトルの底に溜まった澱(おり)を取り除くこと。もう1つは、ワインを空気に触れさせることで、香りや味わいのポテンシャルを開かせることです。
現代のようなガラス製ワインボトルが普及したのは17世紀頃とされ、それ以前のワインは水差しなどに移されて食卓に饗されていたため、「ワインボトルが普及する以前は、すべてデカンタージュされていたともいえる」とリーデル公式ブログは紹介しています。その後、貴族やブルジョワの正餐で「ワインボトルをそのまま食卓に出すのはエレガントではない」という考えから、熟成したヴィンテージワインを専用のデカンタに移す習慣が定着し、これが現在の「デカンタージュ=高級」というイメージの由来になったとされています。
高級ワインだけの道具ではない
同ブログでは、デカンタージュは高級ワインだけの特権ではないとも説明されています。ボトル1,000円ほどの日常消費ワインであっても、空気に触れさせることでアロマが開き、個性が感じられやすくなるとされています。また「繊細な白ワインをデカンタージュすると酸化するのでは」という懸念についても、完熟したぶどうを使う新世界の白ワインであれば、一夜の食事の間に酸化してしまうことはまずないと紹介されています。
なお、日本酒についても、四斗樽から片口、片口から徳利や銚子へと移し替える昔ながらの提供方法が、結果的にデカンタージュと同じ効果をもたらしていたとされる点も同ブログで紹介されています。
エアレーターとは何をする道具か
エアレーターは、ワインボトルの口に取り付ける注ぎ口(ポアラーの一種)です。ワインショップソムリエ公式サイトによると、主な役割はワインを注ぐ際に空気を効率的に触れさせることで、側面の通気孔から酸素を取り込み、注ぐ過程でエアレーション(空気接触)を発生させます。ボトルに直接取り付けるタイプのほか、ボトルとグラスの間に挟んで使うタイプ、電動でノズルを差し込むタイプなど構造はさまざまです。
価格帯は1,000円台から7,000円程度までと幅があり、2,000円前後の製品が多く販売されているとされています。デキャンタのように数十分〜数時間置く必要がなく、注ぎながら短時間で空気に触れさせられる点が、デキャンタとの使い分けのポイントになります。
エアレーターが向くワイン・向かないワイン
ワインショップソムリエ公式サイトでは、エアレーターの向き不向きについても具体的に説明されています。
- 一般的に使わないほうがよいとされる例: スパークリングワイン、白ワイン全般。スパークリングは魅力である泡が消えてしまい、白ワインも酸やフレッシュさが揮発しやすいためとされています。
- 使うと効果が出やすいとされる例: 香りが閉じている、コクがあるはずなのに硬く感じられる白ワイン。とくに若いヴィンテージのカリフォルニアワインや、木樽でしっかり熟成されたオイリーな白ワインが挙げられています。
- 赤ワイン: とくにヴィンテージの若い赤ワインで、瓶内熟成が不十分な際に出る還元臭を軽減したり、酸味成分(有機酸)や渋み成分(ポリフェノール)が空気に触れて減少し、まろやかに感じられやすくなるとされています。
同サイトは、エアレーターが向くワインの傾向は、デキャンタージュが向くワインの傾向とおおむね共通していると説明しています。
使う時間の目安
エアレーターがない場合の代替として、デキャンタージュする際の時間の目安も紹介されています。若いヴィンテージワインはワインの力強さに応じて1〜3時間程度、熟成された年代物のワインはサーブする数分〜10分程度が目安とされていますが、同サイトは「あくまでワインの状態によっても変わる」と注記しています。空気をより多く取り込みたい場合は、高い位置から注ぐ方法も紹介されています。
まとめ:置いてじっくりか、注ぎながら手早くか
デキャンタとエアレーターはどちらも「ワインを空気に触れさせる」という点では共通していますが、デキャンタは澱の除去も兼ねて時間をかけて行うのに対し、エアレーターは注ぐ動作の中で短時間に空気接触を済ませる道具という違いがあります。普段のワインの保存方法については「ワイン保存グッズの選び方」、注ぐ側のグラス選びについては「ワイングラスの選び方」もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. デキャンタとエアレーター、どちらを選べばよいですか? A. 公式情報では優劣は示されていません。仕組みが異なるため、時間をかけてじっくり澱を除きたい場合はデキャンタ、注ぎながら手早く空気に触れさせたい場合はエアレーターという使い分けが紹介されています。
Q. スパークリングワインにもエアレーターは使えますか? A. ワインショップソムリエ公式サイトによると、一般的にはスパークリングワインにエアレーターは使用しません。エアレーターを通すと、魅力である泡が失われてしまうためとされています。
Q. 安いワインにデカンタージュする意味はありますか? A. リーデル公式ブログでは、ボトル1,000円ほどの日常消費ワインでもデカンタージュによってアロマが開く効果があるとされており、高級ワインに限った作業ではないと紹介されています。