ノンアルコールワインの選び方|「0.00%」表示の基準と2つの製法

「お酒を控えたいけれど、ワインのような雰囲気は楽しみたい」というときに選ばれるのが、ノンアルコールワインやワインテイスト飲料です。ただし「ノンアルコール」という表示には、実は酒税法上の基準と業界の自主基準という2つの異なるものさしが関わっています。この記事では、メルシャン(キリン)公式サイトの解説と、ワイン輸入元モトックス公式コラムの情報をもとに、表示の基準と製法の違いを整理します。試飲による味の評価は行わず、公式情報で説明されている内容の紹介にとどめます。
「ノンアルコール」の2つの基準
モトックス公式コラムによると、酒税法では「お酒」をアルコール分1%以上の飲料と定義しています。そのため、アルコール度数が1%未満の飲料は酒税法上「ノンアルコール」と呼ぶことができます。しかし1%未満には最大0.99%までのアルコールが含まれ得るため、「ノンアルコールのつもりで何杯も飲んだら、結果的にアルコールを摂取していた」という問題が指摘されてきました。
そこで、酒類の広告審査委員会が定める酒類業界の自主基準では、味わいが酒類に類似し20歳以上の者の飲用を想定した「ノンアルコール飲料」を、度数が0.005%を下回るものと定義しています。0.005%を下回る製品には「ノンアルコール」表示に加えて「0.00%」(小数点以下2桁)の表示がされます。
| 表記 | 実際の度数の目安 | 自主基準での扱い | 運転前などの目安 |
|---|---|---|---|
| 0% | 0.5%未満 | ノンアルコールではない場合あり | - |
| 0.0% | 0.05%未満 | ノンアルコールではない場合あり | - |
| 0.00% | 0.005%未満 | ノンアルコール | 対象 |
同コラムは、この自主基準はビール系飲料ではほぼ徹底されている一方、ワインテイスト飲料では0.5%程度の製品でも「ノンアルコール」と記載されている場合があると注意を促しています。背景として、ワインテイスト飲料には輸入品が多く、海外メーカーや輸入元の「ノンアルコール」の判断基準が日本の自主基準と異なる場合があるためとされています。運転前などアルコールを避けたい場面では、購入時にボトルの表示をよく確認することが必要です。
ワインテイスト飲料とは何か
モトックス公式コラムによると、「ワインテイスト飲料」に正式な定義はありませんが、多くはワインを「脱アルコール」する方法などで造られ、アルコール度数0.005%以上〜1%未満の製品に多く見られる呼称です。「ノンアルコール」の表記が無い製品は、運転前などの飲用には推奨されないとされています。
製法1: アルコールを生成させない造り方
同コラムでは、ワインテイスト飲料の製法を大きく2種類に分類しています。1つ目は、そもそもアルコールを生成させない造り方です。凍結などによって果汁から甘味を取り除いたり、ワインに近い味わいに寄せるために苦味・酸味成分を添加したり、乳酸発酵などアルコールが発生しにくい発酵によって果汁の風味を変化させたりする方法が挙げられています。
製法2: 通常のワインからアルコールを除く「脱アルコール製法」
2つ目は、通常の方法で一度ワインを造ってから、アルコール分を除去する方法です。代表的な技術として、モトックス公式コラムは次の3つを紹介しています。
- 蒸留法(減圧蒸留法): 減圧しながら加温し、蒸発したアルコールを除去する方法。低温で行うため、ワインの風味を保ちながらアルコールを除去できるとされています。
- 逆浸透法: 特殊な半透膜を使い、ワインからアルコールと水を分離・除去したあと、水だけを再度加えて製品にする方法です。
- 揮発性物質回収法(スピニング・コーン・カラム法): 遠心力を利用してワインとアルコールを分離する方法。一緒に分離される香り成分は回収し、製品に戻すことができるとされています。
同コラムは、これらの方法でアルコールを除去すると、ワイン本来の味わいや風味が保たれる場合が多いと紹介しています。
メルシャンの技術に見る「戻り香」への工夫
キリン(メルシャン)公式サイトでは、アルコール0.00%のノンアルコール・ワインテイスト飲料に使われている独自製法が紹介されています。ポイントは、ワインらしい柑橘香成分を含む特殊ブドウ果汁原料の開発(国際特許出願中)と、「口中の戻り香」という考え方です。果汁が持つ香り成分を強化することで、鼻先から感じる香りだけでなく、口に含んだときに感じられる「戻り香」を生み出し、ワインのような風味を表現しているとされています。さらに複数の果汁・糖・酸をブレンドし、ワインのようなボディ感を持たせつつ、後味に甘さが残らない飲み口に仕上げているとのことです。同社は「メルシャンスパークリング アルコールゼロ」をこの製法による商品として挙げています。
ワインテイスト飲料とブドウジュースの違い
「アルコールがほぼ無いなら、ブドウジュースと同じでは」と思われるかもしれませんが、モトックス公式コラムでは違いが整理されています。
| 観点 | ワインテイスト飲料 | ブドウジュース |
|---|---|---|
| 原料 | 主にワイン用のブドウ品種 | 食用のブドウでも造られる |
| 製法 | ワインの味わいに近づける工夫がされる | ブドウを搾ったそのまま、または濃縮還元 |
| 味わい | ワインのようなコクと酸味がある | 果汁の自然な甘さや風味が前面に出る |
ワインテイスト飲料(アルコールテイスト飲料)は「味わいが酒類に類似」し「20歳以上の者に推奨」している点で、ジュースとは位置づけが異なるとされています。ノンアルコールであっても、通常の酒類と同様に20歳未満の方の飲酒は法律で禁止されており、20歳以上の方向けの商品として扱われている点には留意が必要です。
まとめ:表示と製法を確認して選ぶ
ノンアルコールワイン・ワインテイスト飲料を選ぶ際は、「0.00%」表示かどうかで自主基準を満たしているかを確認できます。そのうえで、アルコールを生成させない造り方か、通常のワインから脱アルコールした製法かによっても風味の傾向が変わるとされています。ボトルの表示を確認する習慣は、ワイン本体を選ぶ際のラベルの読み方とも共通する部分があります。「ワインラベルの読み方」もあわせてご覧ください。開栓後の保存については「ワイン保存グッズの選び方」も参考にしてください。
よくある質問
Q. 「ノンアルコール」と書かれていれば、アルコールは一切含まれていませんか? A. 必ずしもそうとは限りません。酒類の広告審査委員会の自主基準では0.005%未満を「ノンアルコール」(0.00%表示)としていますが、ワインテイスト飲料では0.5%程度でも「ノンアルコール」と記載される場合があるとモトックス公式コラムは指摘しています。運転前などの場面では「0.00%」表示を確認することが目安になります。
Q. ワインテイスト飲料はどのように造られていますか? A. モトックス公式コラムによると、大きく分けて「アルコールを生成させない造り方」と「通常のワインからアルコールを除去する脱アルコール製法(蒸留法・逆浸透法・スピニングコーンカラム法など)」の2種類があり、両者を組み合わせる場合もあります。
Q. ワインテイスト飲料とブドウジュースは同じものですか? A. 異なります。原料となるブドウ品種や製法、味わいの傾向が異なるほか、モトックス公式コラムでは「味わいが酒類に類似し20歳以上の者に推奨している」点でブドウジュースとは位置づけが異なるとされています。